「入力文字数の増加と姿勢の改善がこんなにも顕著に表れて嬉しい」 川崎市立西生田小学校 【全国実証タッチタイピングプロジェクト参加校インタビュー】
全国実証タッチタイピングプロジェクトに参加している川崎市立西生田小学校3年1組(2024年度)の児童のみなさんにタイピング練習教具「うちかたくん」を利用し、1週間に1回、朝の時間を活用して『らっこたん』の「タッチタイピング習得コース」による練習を約3か月間にわたり実施してもらいました。
「タッチタイピング習得コース」は子どもたちが効率よくタイピングスキルを向上できるよう、ホームポジションを意識し、正しい指使いでタッチタイピングを段階的に習得できるよう設計したコースです。
練習前には正しい姿勢やホームポジションの場所など正しいタイピングを行うためのポイントを子どもたちに伝え正確に入力することや正しい姿勢を意識させつつ指にキーボードの場所を覚えさせるために「うちかたくん」を利用し、何回も練習を行ってもらいました。
3か月間練習を続けた結果、入力文字数の増加や姿勢の改善などの成果が得られました。
【3か月練習を行った子どもたちにインタビュー】
―「うちかたくん」を使って練習してみた感想を教えてください。
児童A:最初はすごく難しかったけど、慣れてくると楽しくなってきた。
児童B:最初は難しいと思ってたけど、やっているうちに指とか慣れてきて、見えなくてもちょっと打てるようになってすごく楽しかったです。
児童C:最初やってる時は星1ぐらいもいけないぐらいだったけど、どんどんやっていくうちにいろんなところが星2になってきたり、星3も頑張れそうになってきて楽しかった。
―「うちかたくん」を使って練習をする前と後で変わったことはありますか?
児童A:最初はうちかたくんなしでもあんまり打てなくて、うちかたくん使った後は上手になった。
児童B:うちかたくん使う前は指もAのところが薬指とかになってたから、もう見ないでやったら小指になったりして、それが変わっていろんな指使って打てるようになってきました。
児童C:やっていくうちにどんどん小指とか人差し指とか速く打てるようになってきました。
―いろんな指を使ってタイピングをする時とそうでない時だとどちらがうちやすいですか?
児童B:最初やる前は、指とか絡まってるような感じがして、でも直していくとすんなり速く打てるようになった。
―うちかたくんを使って練習をしてからは、タイピングするときにキーボードとタブレットの画面、どっちのほうを見ることが多くなった?
児童C:画面、ばっかり見てる気がしてる。
児童B:画面ばっかり見ててうちかたくんつけると全然見えないから、絶対画面のほうが見てる気がする。
児童A:画面の方。キーボードも画面もどっちも見てると大変でうちかたくんを使うと画面だけ見れるから楽でいい。うちかたくんを使ってなかったらちらほらちらほらちょっとだけ(キーボードの方を)見てる。でも、画面の方が多い。
【川崎市立西生田小学校 樋口彰校長先生・3年1組担任(2024年度)篠原理恵先生 インタビュー】
―うちかたくんを使ってタッチタイピング練習を行ってみていかがでしたか?
篠原先生:1分間あたりの文字入力数が右にずれている(タイピングスキルの向上と底上げができている)というのはすごく嬉しいと思いました。
篠原先生:また、この写真見て姿勢は本当にこんなに顕著に(変化が)表れるものなのかと思いました。
篠原先生:うちかたくんを使って練習するときにうちのクラスでは書写の姿勢と絡めて、合言葉みたいに決めて「足はちゃんとつけるんだよ。足はぺったん、背中はピン、お腹と背中にグー 一つ」、本当だったら「紙を押さえてさあ書こう」と書写の教科書には載ってますが(その代わりに)「ホームポジションに人差し指を置いて始めるよ」その合言葉を言ってからやってたから、それを言わずに「はい、GIGA開いて、授業中どうぞ」って言ってしまうとまた猫背に戻ったりもあるのかなと思いましたが、物(うちかたくん)が一つあるだけで意識ってすごく変わるということがよく分かりました。
樋口校長先生:それなりに成果はあるということなので、集中してやればもっと成果が出るのかもしれないけど、それだとあまり意味ないかなっていろいろな学校教育の教育活動全体の中に、これ(タイピング練習)が本当に少し載っているだけだから1週間に一度10分でそれで十分だと思う。こういう経験がしてあるか、してないかが大きいかなって成果が出た出ないよりも、こういうことを知らないで6年生とか大人になる人も結構いると思う。
―子どもたちがホームポジションや正しい姿勢・指使いなどについて知った上で練習を行うことがどれ位、大切だと思いますか?
篠原先生:私は以前に担任を持ったのが高学年で今回3年生の担任になった時に、高学年だったら、GIGA(端末)ですぐ振り返りできるのに、紙を配って書くのを待たなきゃいけない時間がもどかしいと感じることが年度初めはあったのですが、GIGA(端末)に慣れていって、どんどん扱うスピードが速くなっているというところにすごく便利さを感じています。子供にもよりますが紙での振り返りだと短い文章しか書けない子が、体育の振り返りなどGIGA(端末)でやってもらうとぎっしり書くとかそういったところも見られましたので、書くのが苦手な子にとって(GIGA端末の)活用というのはものすごく影響があるんだなと感じました。
ただ、書く時間よりも、打つ時間の方が多かったりする日もあるのでそう考えると、猫背になって、顔が画面に近くて目が悪くなるとか、ずっと画面を見てたから頭が痛くなってしまうこととかが減るという点では、今回姿勢だったりタッチタイピングのことを教えていただけたのはすごく嬉しいなと思いました。
樋口校長先生:結局、鉛筆で正しく持てなくても、きれいな字を書く子どもも大人もいるし、
箸の持ち方がおかしくても、箸で食べてる人がいるので、そこからいけば、タッチタイピングできなくたって十分やっていけるのですが、でもタッチタイピングを覚えればずっと使うことができます。タッチタイピングを覚えるのはものすごく苦労を要するものではないと思います。例えばスポーツの大会で優勝するぐらいの苦しく辛い練習をする必要はないと思うので、そういう機会を大人が与えてあげられるかどうかがこれから大きくなってくるのかな。やはり知っておいた方がいい。篠原先生も言ったけどやはり健康上、大事だよね。
―うちかたくんを使ってタッチタイピング練習を行う前と後でどのような変化が効果がありましたか?
篠原先生:ホームポジションを1回目に石塚さんに教えていただいて、その前にも少し話したことあったんですけど、みんなの前でしっかりそれが大事なんだよって教えていただいたのは1回目が初めてで、そこから時間が経って慣れてくるとなかなかそういう言葉(ホームポジション)が出なくなることもあったんですけど、「何かGIGA開いて打ってごらん」という時に「ホームポジションだよ」って友達に声かけたり、あと「指のこと気をつけなきゃいけないんだよね」そういった声が子供から出ることもありました。やはり慣れてくると減ってくるっていうところはもちろんあるんですけど、でも子供は今までは知らなかったことなので、そこの声が出てきたっていうのは一番大きい変化かな。
このタイピングの練習だけじゃなく授業の中でも、GIGA端末打つ時間っていうのはもちろん設けてきたんですけど、そうなって少しずつローマ字も覚えられる子も増えてきた。打つことに対して3年生はGIGA端末を使って学習は2年生の時にすごく多かったわけではないと思うので、端末自体への興味だったり、やってみたい気持ちはあったんですけど、ただやり始めたらやっぱり難しい。止まっちゃうっていう子もいたんです。けれどそれも今は打つのがどうしたらいいかわからないで止まるんじゃなくて、なんて打とうか考えてるから止まってる。これは紙と一緒だなと思ったのでそこまで慣れるっていうことは、今年一番大きい変化じゃないかなって思います。
樋口校長先生:思考しながら打ってるってことだよね。
篠原先生:ローマ字がわからないで止まっている子ももちろんいますけど、書く内容で困っている子の方が多いので、そこ(タイピング)に慣れたことは変化かなと思います。