コグフレ(Cognition Frame)とは

「コグフレ」とは、人が物事を認知する「手前の条件」を可視化するための観察フレームです。
人が出来事をどう解釈するかは、その人の性格だけでなく、その時の状態や環境といった「前提条件」に大きく左右されます。コグフレは、認知の内容(考えそのもの)ではなく、認知がどのように立ち上がりやすいかという条件に注目し、以下の4つのフレームで整理します。


• 状態(State): 疲労、不安、焦りなど、心身のコンディション。
• 関係性(Relation): 相手との距離感(親友、苦手な人など)。
• 文脈(Context): 場の特性(SNS、対面)や会話の流れ(雑談中、トラブル中)。
• 目的(Goal): 自分が何を求めているか(仲良くしたい、問い詰めたいなど)。

 

コグフレの目的

同じ言葉でも、これらのフレームが異なれば全く違う意味に受け取られます(例:「プリントもう出した?」という言葉も、焦っているときは「責められている」と感じ、落ち着いているときは「確認」と感じるなど)。 コグフレを用いることで、「あの子は性格が悪いからあんなことを言った」と人格を責めるのではなく、「あの状況(フレーム)なら、ああいう言い方になるのも分かる」という他者理解を促し、いじめやトラブルの芽を摘むことを目指しています。

 

コグフレができること

①同じ言葉でもフレームによって違った意味にとらえられる事に気づく

②その発言がどのようなフレームによって起こったのかを考える

 

人は、その瞬間のフレーム(状態・関係性・文脈・目的)で言葉を選んでいることが多くあります。

コグフレでフレームと思考や発言の関係を調べることで、「性格が悪いからあんな言い方をした」ではなく、  

「そのフレームなら、ああいう言い方になるよね」と他者理解を促すことができます。

 

人の言葉は“性格”ではなく“フレーム”で変わる。  

フレームを理解すると、相手の言動に納得できるようになる。

これができると、「あの子は性格が悪い」ではなく  「あの状況なら、ああ言う気持ちも分かる」  と捉えられるようになります。

 

コグフレは、デジタルコミュニケーション、対人関係、意思決定、学習場面など、幅広い領域で活用できる教育的メタフレームです。特に、SNS上での誤解・断れなさ・過剰な推測といった問題を扱う際に、認知の背景を丁寧に理解するための実践的なツールになります。

 

 

CFRカードとは

CFRカードは、コグフレの理論を基に、自分や他者の認知の背景に気づくために開発された実践用カード教材です。 以下の3種類のカードで構成されています。
① 認知パターンカード
日常やSNSで起こりやすい「思考のクセ」や「反応」を言語化したカードです。これらは良い・悪いを判断するものではなく、状態に名前をつけるために使われます。

② フレームカード
コグフレの4要素(状態・関係性・文脈・目的)の具体的な例が書かれたカードです。

③ トークカード
具体的なチャット(SNS)のやりとりが書かれたカードです。「既読スルーを責める場面」や「ノリで写真を拡散しようとする場面」などの事例を見て、その背景にどのような認知パターンやフレームがあるかを考えるために使用します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教育的な意義

この教材は、「認知が立ち上がる前の条件」を扱う点に特徴があります。

 

子どもたちは、自分の感情や判断を「性格」や「その人が悪いから」と結びつけてしまいがちです。

CFRカードを使うことで、子どもたちが、失敗やトラブルを「個人の性格の問題」として片付けるのではなく、「状況や関係性が影響して起きた現象(構造)」として捉え直す力を育て、認知の事故を予防することを目的としています。

 

具体的な活用シーン

デジタルコミュニケーション(SNS含む)、対人関係など幅広い場面で活用できます。 特に、「既読スルーを責められた」「ノリで画像を拡散してしまった」といったトークアプリ上のトラブルを扱う際、トークカードの事例を見ながら、「なぜそうなったのか」を認知パターンカードやフレームカードを使って分析する活動が有効です。また、ネットいじめの予防教育としても活用可能です

【Cognitive framingとコグフレ(Cognition Frame)の違い】

Cognitive framingは、一般的に使われる心理学・社会科学の用語で、「物事をどう枠づけて理解するか」という心の働きを指します。
- 人が出来事をどう解釈するか
- どの視点・文脈で意味づけるか
- その枠組みが行動や判断にどう影響するか

一方でコグフレ(Cognition Frame)は行動や思考が立ち上がる前段階に目を向けたもので、人の認知の動き方をメタ的に扱うための観察フレームです。

例えば
- 疲れているときは「否定的に解釈しやすい」
- 仲良い相手には「断れない方向に認知が傾く」
- SNSでは「相手の感情を過大推測しやすい」
これらは、起こった出来事や発生した心理の後解釈ではなく、解釈が生まれる前の認知の観察、シミュレーションになります。

コグフレと関連教育領域

コグフレは、私たちが日常で行う「判断」や「解釈」のさらに手前にある、“その認知が立ち上がる前”を見える化して考えるための教育フレームです。
メタ認知が「考え方を振り返る力」を育て、認知バイアス教育が「偏りの種類」を教え、デジタルシティズンシップが「望ましい行動」を示すのに対し、コグフレはそれらの根底にある、認知の源泉そのものに焦点を当てています。

人は、疲れているとき、孤独なとき、誰かに認められたいとき、あるいは仲の良い相手からのメッセージを受け取ったとき、同じ言葉でもまったく違う意味づけをしてしまいます。
思考や行動の違いは「考え方」や「バイアス」だけではなく、状態・関係性・文脈・目的といった“認知の前提条件”によって生まれます。

 

コグフレは、既存の教育領域を否定するものではなく、むしろそれらをつなぎ、深め、支える考え方です。

領域 何を扱うか 主な目的 アプローチ コグフレとの違い
メタ認知 自分の思考プロセスの把握 学習効率・自己調整力の向上 思考の振り返り・計画・モニタリング メタ認知は「思考のプロセス」を扱うが、コグフレは「認知が立ち上がる前の条件や、その条件で発生しやすい思考や行動」を扱う
認知バイアス教育 認知の偏り・判断の癖 誤解・誤判断の防止 バイアスの種類を知り、対処法を学ぶ バイアスは「結果としての偏り」を扱うが、コグフレは「偏りが生まれる理由や原因」を扱う
デジタルシティズンシップ オンラインでの適切な行動・態度 安全・責任あるデジタル利用 行動規範・倫理・情報活用 行動規範が中心だが、コグフレは「その思考や行動を生む背景」を扱う
コグフレ(Cognition Frame) 認知が立ち上がる前の状態・関係性・文脈・目的 認知の事故の予防・自己理解の深化 認知の前の状態を観察し、偏りの源を理解する 既存の、どの教育領域にも属さない「認知の前段階」を扱う独自のフレーム