コグフレ(Cognition Frame)とは
「コグフレ」はCognition Frameの略で、「自分の認知の動き方をメタ的に扱うための観察フレーム」です。
人が出来事をどのように理解し、どのような判断や感情を生み出すかは、個々の“認知のクセと状態”に大きく左右されます。
コグフレは、認知が作動する前の条件を体系的に捉えるもので、認知の内容そのものではなく認知がどのように立ち上がりやすいかを可視化するための枠組みです。
Cognition Frame は、以下の4つの要素から構成されます。
•状態(State):疲労・不安・承認欲求など、心身の状態が認知に与える影響。
•関係性(Relation):相手との距離感や関係が認知の方向性を決める要因。
•文脈(Context):トークアプリ・対面・集団など、場の特性や会話の流れが認知の立ち上がり方を変える条件。
•目的(Goal):自分が何を求めているかによって生じる認知の偏り。
これらを整理することで、人が「なぜ自分がそのように感じたのか」「なぜその判断をしたのか」を事後的に振り返るだけでなく、事前に認知の事故を予防する力を身につけることができます。
例えば、「今の自分は『State:寝不足』で『Relation:苦手な友だち』と『Context:学級会』で話そうとしている。だから『Goal:早く終わらせたい』が強く働き、攻撃的になりやすいかもしれない」といった形で、認知の方向を事前に予想したり、シミュレーションしたりすることができ、感情的なコミュニケーショントラブルを防ぐ強力な武器になります。
Cognition Frame は、デジタルコミュニケーション、対人関係、意思決定、学習場面など、幅広い領域で活用できる教育的メタフレームです。
特に、SNS上での誤解・断れなさ・過剰な推測といった問題を扱う際に、認知の背景を丁寧に理解するための実践的なツールになります。
【Cognition Frame が目指すもの】
・自分の考え方のクセ(認知の偏り)に気づける
・状況や場面、関係性によって認知が変わりえることを知る
・SNSでの無意識の攻撃や断れなさを予防できる
・メタ認知の基礎力が育つ
【学校教育手法として価値】
■児童生徒が「自分の考え方のクセ」を事前に把握できる
→ ネットいじめや、トラブルの予防の一環として
→ 悪意なく相手を傷つけてしまう可能性を知る
■「無意識の動き」を扱える
- 無意識の感情、関係性による違い、文脈依存による発言などを自然に扱える
■「嫌を伝える力」「距離を取る力」の土台になる
どのような認知であるかを言語化してことで、「今の自分は断りにくい状態だ」「相手はこういった状態だ」というメタ認知ができる
CFRカードとは
CFRカード(Cognition Frameカード)は、ネットいじめの予防教育において、考え方のクセに気づき、言葉の背景にある“認知の歪み”を理解するための教材です。ABC理論※に基づき、出来事(A)に対してどんな思考(B)が働いたかを可視化することで、感情や行動(C)への影響を理解し、より適切なコミュニケーションを育てます。
カードには、代表的な考え方のクセ(白黒思考、レッテル貼り、べき思考など)とその説明、起きやすい場面、LINEでの具体的なやり取り例が記載されており、視覚的・直感的に理解できる構成になっています。
※ABC理論: 米国の心理学者アルバート・エリスが提唱した認知行動療法の中心となるフレームワーク。出来事(A)が結果(C)を直接引き起こすのではなく、その間にある信念や受け止め方、考え方(B)が感情や行動(C)を左右するという理論であり、このBを修正することで不適応な感情を改善する考え方。
【Cognitive framingとCognition Frame(CFR)の違い】
Cognitive framingは、一般的に使われる心理学・社会科学の用語で、「物事をどう枠づけて理解するか」という心の働きを指します。
- 人が出来事をどう解釈するか
- どの視点・文脈で意味づけるか
- その枠組みが行動や判断にどう影響するか
一方でCognition Frame(CFR)は認知が作動する前段階の「気づきの枠」に目を向けたもので、自分の認知の動き方をメタ的に扱うための観察フレームです。
例えば
- 疲れているときは「否定的に解釈しやすい」
- 仲良い相手には「断れない方向に認知が傾く」
- SNSでは「相手の感情を過大推測しやすい」
これらは“出来事や心理の解釈”ではなく、解釈が生まれる前の認知の観察、シミュレーションになります。
コグフレ(Cognition Frame)と関連教育領域
Cognition Frame(コグフレ)は、私たちが日常で行う「判断」や「解釈」のさらに手前にある、“認知が立ち上がる前”を見える化するための教育フレームです。
メタ認知が「考え方を振り返る力」を育て、認知バイアス教育が「偏りの種類」を教え、デジタルシティズンシップが「望ましい行動」を示すのに対し、コグフレはそれらの根底にある、認知の源泉そのものに焦点を当てています。
人は、疲れているとき、孤独なとき、誰かに認められたいとき、あるいは仲の良い相手からのメッセージを受け取ったとき、同じ出来事でもまったく違う意味づけをしてしまいます。
思考や行動の違いは「考え方」や「バイアス」だけではなく、状態・関係性・文脈・目的といった“認知の前提条件”によって生まれます。
コグフレは、この前提条件を4つの要素として整理し、
・なぜその判断をしたのか
・なぜその感情が生まれたのか
・なぜ断れなかったのか
・なぜトークアプリで誤解が起きたのか
といった“認知の背景”を理解するための指針を提示します。
この指針を持つことで、学習者は「認知の事故」を事前に予防し、状況に流されずに自分の認知を扱う力を育てることができます。
コグフレは、既存の教育領域を否定するものではなく、むしろそれらをつなぎ、深め、支える考え方です。
| 領域 | 何を扱うか | 主な目的 | アプローチ | コグフレとの違い |
| メタ認知 | 自分の思考プロセスの把握 | 学習効率・自己調整力の向上 | 思考の振り返り・計画・モニタリング | メタ認知は「思考のプロセス」を扱うが、コグフレは「認知が立ち上がる前の条件」を扱う |
| 認知バイアス教育 | 認知の偏り・判断の癖 | 誤解・誤判断の防止 | バイアスの種類を知り、対処法を学ぶ | バイアスは“結果としての偏り”を扱うが、コグフレは“偏りが生まれる前段階"を扱う |
| デジタルシティズンシップ | オンラインでの適切な行動・態度 | 安全・責任あるデジタル利用 | 行動規範・倫理・情報活用 | 行動規範が中心だが、コグフレは“その行動を生む心理的背景”を扱う |
| コグフレ(Cognition Frame) | 認知が立ち上がる前の状態・関係性・文脈・目的 | 認知の事故の予防・自己理解の深化 | 認知の前の状態を観察し、偏りの源を理解する | 既存のどの教育領域にも属さない“認知の前段階”を扱う独自のフレーム |